無理して笑うな


そんな話をしている内に、俺達は撮影場所に着いて車をおりた。



俺達の話を運転しながら聞き、何も言わずにいてくれた葉月社長は車から降りてくるとふう、とため息をついた。




「あなた達、特に拓真!今日最後の撮影なのよ?もっと緊張感もって!」




「だって姉さん。悠斗が面白いんだもん。」




拓真はくっくと笑って俺を見た。




「もう、悠斗をからかうのもそれぐらいにしときなさい。ほら、こんなに広い海があるのに!」






そう。



最後の撮影場所は、広い海岸。



夏が終わってもう秋も半ばだから泳ぐことはできないけど。





ドラマの設定でも、桜と陸が海岸に来るのは秋だった。





幼馴染みの桜と陸は、高校生になってからお互いの気持ちに気づいて付き合いだした。



でもそれを快く思ってない人はたくさんいて。




陸のことが好きだった美玲はそんな2人の関係にヒビを入れようとあちこちから手を回す。



それを知らず陸が美玲と付き合っているのかもしれないと思い始めた桜は、陸と大喧嘩をしてこの海岸に来るのだ。




それを陸は夕方まで探し続け、桜を見つけたところで2人の誤解は解けてまた結ばれるのだ。




「もうすぐ撮影が始まるわ。拓真は用意して。」




社長がそう言ったとき、海岸沿いの駐車場の俺達が乗って来た車の隣に、もう1台が止まる。



俺達がそれに気づいて振り返ると、降りてきたのは唯とマネージャーの栗田さん、そしてRedStars芸能プロダクションの社長だった。




「やぁ、太田社長オヒサシブリデス。お元気デシタカ?」




唯の外国人の社長さんは、笑顔で葉月社長に挨拶する。




「お久しぶりです、ウィリアム社長。顔合わせのとき以来ですから…4ヶ月ぶりですか?」




「そうです、そうです。こんな短時間でもうクライマックスなんて、明石監督は本当に素晴らしい人デスネ〜。」