無理して笑うな






「さぁ、どうだろか。」




俺は少し笑うと斗真を置いて歩き出した。




「待てよ!」




「待たない。帰るぞ。早くしないと唯に会っちまうだろ。俺は帰ったことになってるのに。」




それに、もう9時回ってるし。




いくら仕事でも、そろそろ帰らないと。





「自分の気持ちに気付きながら、それを隠して何の意味があるんだよ!」




斗真はそんなことを言いながらついてくる。




自分の気持ち?





それはこの世界で生き残っていきたい



ただそれだけ






「お前が副リーダーとして、それ以前に誇りを持ってこの仕事をしてるのは知ってる!

それでも、自分の気持ちに気づいてるなら素直になるべきだよ。

隠してたってただ苦しいだけだ!」




「斗真!」




俺はテレビ局から出てから、そう叫んだ。



斗真は驚いたように立ち止まる。





「お腹すいたなぁ。弘樹君の店行こうよ。
…唯のお兄さんなことは忘れてさ、失恋した男2人の話聞いてもらおう。」




それを聞いて、斗真が目を見開いたのが分かった。




「お、おう。」




斗真はそれから何も言わなかった。




これでいい。



俺の気持ちは、この世界で生き残ってみんなで笑っていたい。





ただそれだけなんだから。