〈唯said〉
時が経つのはとても早くて
「次出番です。BlueSkyのみなさん、舞台袖にスタンバイお願いします!」
「はい。」
気づけばもう、ドラマの撮影は終盤にさしかかっていた。
撮影が終わってもそれを編集したりするから公開はまだまだ先なんだけど
「唯?」
企画段階から期待度の高いドラマだったからテレビ局の人達も力を入れているようで、撮影のスピードは早かった。
「ねえ、唯?どうしたの?」
でも1つ、気がかりなことがあって。
悠斗の様子がおかしい。
「…リーダーのことだから叩いたら起きるって。」
「やだ斗真君ひどい。」
撮影初日に会った日、あたし達は一応仲直りしたんだと思ってた。
なのに、それからすぐに悠斗はあたしとは目も合わせてくれなくなった。
撮影が終わっても、拓真君を連れてさっさと帰ってしまう。
「じゃあ、亜依やれよ。」
「嫌よ。唯に殺される。」
「ゆーいさぁん。」
「…あたし何かしたかなぁ。」
「いくよ。せーの!」
パチン!
あたしは軽く頭を叩かれたのをきっかけに目を開いた。
そこには心配そうに首を傾げる仲間達がいた。