あなたが、



散々殴られた後、私は家を追い出された。よくあることだけど。


宛もなくフラフラ歩いて、誰かに買ってもらって、朝、家に帰る。


お金を渡せばお父さんは機嫌が直るから、いつもそうしていた。


でも、今日は違った。


ふと立ち止まると、橋の上で。昨日の雨のせいで水かさの増えた川が見えた。


「…もう、」


疲れた。


だから、終わりにしてもいいよね。


橋の手すりに手を置いて身を乗り上げる。茶色く濁った川が、私を呼んでいるような気がした。


「今、行くよ……。」


(万夢。)


そう呟いて、体重を前に傾けた。


グラリ。


川がグッと近づく。


あぁ、やっぱりどんな時でも、


(死ぬのって、こわいな。)


そう思った時、ガクンと衝撃がきて、落下が止まった。


「あっぶねぇなぁ。」


上から降ってくる低い声と、温かい手。


その声に少しドキッとした。