僕は君だけを見つめてる


「だったら何もなくフランスに帰った方がこんな気持ちにならなかったんだろうなって」

「そっか…」

「思い出す度に逢いたくなるじゃん?でも日本とフランスじゃ簡単には逢えない」

「遠いよね…フランス」

「だからね最後に…」

「最後に?」

「一瞬でもこの子は俺の物だって思いたくて」

抱きしめる力が弱くなって腕から解放される。

「思いたくて?」

「気付いたら抱きしめてたー」

「…!」

「こんな事するはずじゃなかったんだ。莉央ちゃんに“じゃあ”って言われて“ばいばい”って返そうとした」