彼の事を考えて不安になって。

涼華に指摘された上に優しい言葉をかけてもらって泣いてましたなんて。

言えるはずがない。

「…良かった」

とっさに出た言い訳を聞いた彼が口を開いた。

「ん?」

「悲しい事があって泣いてるんじゃないかって」

顔を上げた彼はすごく優しい目をしてて少し罪悪感が生まれた。

「ありがとう!」

罪悪感を押しのけて笑顔で言った<ありがとう>。


「遅れちゃう!行こう」

予鈴が聞こえてきて走り出す。

「ヤバい!遅刻する!」