「…南く…ん」 そこには壁に体を預け微笑んで私を見つめる彼の姿があった。 「おはよう」 体を起こして私の顔を覗き込みながらもう一度あいさつをする彼。 これは夢か何かですか? 「…おはよう。南くん」 「動かないからどうしちゃったのかと思ったよ」 目の前で笑う彼に瞬きも忘れて固まってしまう。 「あー…うん。大丈夫」 曖昧な返事しか出ない。 「今日はヘッドホンしてないんだね」 「ヘッドホン…今日ヘッドホン鞄の中に入ってる」