ぶつかった反動で転びそうになる。

「…あれ?」

転んでるはずなのに痛くない。
それどころかぶつかった誰かに抱き抱えられている。

正面から抱き抱えられてるから顔は見えないけど、目の前に鎖骨が見えるし…男子生徒?

「ごめん岡崎さん。大丈夫?」

「大丈夫です。私こそごめんなさい。前見てなくて…」

ん?この声…。

「…南くん?」

「………」

返事がない。でもこの声聞き間違えるはずがない。

「南くんだよね?」

もう一度呼びかけると体がピクッと動く。