「涼華ですか?」

「そう。涼華ちゃん!涼華ちゃんが話しかけてるのが見えて」

私を起こしに来たときか!

「そのまま見てたらコレ置いて行っちゃうから、講義終わったら取りに行って。後で渡そうと思って持ってたんだ」

チャラそうに見えて案外いい人なのかも。

「ありがとうございました」

ヘッドホンに手を伸ばす。

「あの…離して下さい」

ヘッドホンを手に持ったまま離してくれない。
しかももう一方の手でわたしの手首を握ってくる。

「でさ。俺のお願い聞いてくれる?」

お願い?