私たちを見つけた彼は、一瞬驚いた顔をしたけど微笑んで手を振り返してくれた。

そして、小さな声で「おはよう」と言うと校舎の中に入って行った。

ただの朝の挨拶。
だけど彼と接触出来たことで自然と笑みがこぼれてくる。

視線を感じて横を見ると不適な笑みを浮かべた涼華がこっちを見ていた。

「何?気持ち悪い顔して…」

「乙女にむかって気持ち悪いとは何事?!人の事言えないくらい緩んだ顔してるくせに!」

「そんな顔してない。…はず」

言い切れないけど。