世界一遠距離恋愛

「…ほら、あーんってして?」
「…は!?」
しばらく大人しく待っていると、透はあたしに口を開ける様要求して来た。…そんなの恥ずかしくて出来る訳がない。
「言ったろ?俺が食わせてやるって。…口開けて?」
「やだ。」
「何で!?」
「恥ずかしいじゃん!」
「今この部屋には俺とお前しかいないんだぜ?」
「うっ…!」
それを言われてしまうとそこまでだ。今まであたしは人に見られる事を恥ずかしいと思っていた訳で…今周りには誰もいないと言われてしまえばどうして恥ずかしがっているのかという事になってしまう。
「ほら、あーんっ…。」
「っ…。」
やはり目の前にある大好物の誘惑に負け、多少恥ずかしいのなんてどうでもよくなり始めた。
「…あんまりジロジロ見ないでよ?」
それだけ言って、あたしは口を開ける。
「ちっちゃい口だなー、女の子って。」
透はあたしの口に優しくチョコを押し込む。唇に透の指が触れて少しドキッとする。
「…美味いか?」
「んむっ…あまーい…。」
「そりゃあチョコだしな。」
長時間チョコを持ち続けたせいで透の指に溶けたチョコが付いてしまっている。それを舐めている姿にまた少しドキドキしてしまう。
「ん?あんまりジロジロ見んなよー。恥ずかしいから。」
「うるさいっ!本当は恥ずかしくないくせに!」
「絵理子の真似だ、あははっ。」
「もうっ、そうやってバカにして!」
「わりぃわりぃ。…もっと食うか?」
「うん!でも自分で食べるから!」
「遠慮すんなよ…ほら。」
「もう良いってば!…って言うか舐めてた手で持たないで!」
「えー、良いだろ別に。」
恥ずかしさが増して行く一方で、やはり大好物の誘惑に勝る物はない。結局透にずっと食べさせてもらったんだけど…恥ずかしいからしばらくは絶対やらないと決意した。