世界一遠距離恋愛

「はいっ、じゃあここが俺の部屋だから。」
階段を上がって…もう一回上がった階の突き当たりの左の部屋。そこが透の部屋らしい。…こんなの分かるわけないでしょ!?
「ま、狭い部屋だけどなー。入れよ。」
いやぁ…カードで部屋の扉のロック解除する様な厳重警備の部屋がとても狭いとは思えないんだけど…あたしの部屋なんて鍵掛からないし。…案の定広いし。
「ま、好きな所座れよ。」
「好きな所…。」
座るスペースも椅子もなぜかたくさんあるこの部屋から好きな所を見つける事が出来ない。…ここ、透の一人部屋だよね?こんなにいくつも椅子いる?…言いたい事は色々あったけど近くにあったソファーが見た目からしてフカフカだったのでそこに座る事にした。
「ははっ、やっぱりそれ座りたいと思うだろうなーって思ってたわ。」
「だってぇー…フカフカだったし…。」
透に行動がまるで見透かされているあたしって相当単純な生き物だと思う。…自分じゃどうしようもない事くらい分かってるけど!
「んぁー…疲れたぁー…。」
透は会社の社長とかが座っていそうな立派なソファーに身体を投げる様にして座った。
「ごめんね?あたしが迷子になっちゃったから…。」
「絵理子は悪くねぇって。お前を一人にした俺の責任だから。それにあのクソメイド共が…。」
「透ったらメイドさんの事悪く言っちゃダメだよー…?」
「いやいや、あんな可愛くもねぇメイドに奉仕される気なんかねぇし。…絵理子のメイドの方が余程可愛いわ。」
「なっ…!」
文化祭の日の自分を不意に思い出させられて思わず顔が真っ赤になるのが分かる。さっき思い出したのをようやく忘れられた所だったのに!