世界一遠距離恋愛

「お前何ちゃっかり飯食ってんだよー…。」
「だってお腹空いたんだもん。」
「ふーん…よく噛んで食えよー?」
「お父さんみたいな事言わないの。」
透の眠たそうな声とあたしの口に食べ物をたくさん入れて出す声での会話はかなりマヌケに聞こえる気がする。会話の内容はいつもマヌケだけど。
「そう言えばさ、透お昼買ったんじゃないの?」
「買ってねぇ。」
「買ってないの!?袋持ってたじゃん!」
「昼飯は買ってねぇ。」
「庶民の食べる物は不味くて買えないの?はぁー…お金持ちは言う事が違うねぇー。」
少し皮肉っぽく言ってみる。…確かにお金持ちは羨ましい。あたしもお金欲しい。月二千円じゃ今時やっていけないよ!
「お前、金持ちがそんなに羨ましいか?」
「うん、透の家が羨ましいよ。」
「俺は絵理子の家の方が余程羨ましいけどなぁ…。」
「あたしの家なんか何も無いよ?あたしの事子供扱いするお父さんとお母さんと…シスコンのお兄ちゃんだけ。」
あたしがお兄ちゃんの事をシスコンと言うのには抵抗があった。でもシスコンなのは事実。
「いいじゃん。皆に愛されてて。…絵理子は幸せ者だ。」
「そりゃそうだけどさぁ…。」
「…金があっても愛がなきゃ…それを家族とは呼ばねぇよ。」
透の急な真剣な声に言葉が詰まった。以前、透はご両親をかなり嫌いだと言っていた気がする。もしあたしがお父さんやお母さんから見放されたら…生きていけない気がする。
「絵理子はこの世の中の色んな奴に愛されてんだ。羨ましいわ。俺なんて…。」
「…あたしがいるよ?透の事、愛してるから。」
透はしばらく黙ってしまった。何か考えてる様にも…何かを堪える様にも見えた。