世界一遠距離恋愛

「もしかして自転車の二人乗り初めて?めっちゃビビってんじゃん。」
「だって怖いんだもん!絶対落とさないでよ!?」
「ちゃんと掴まってりゃ大丈夫だって。…ほら、見ろよ。河川敷だぜ。」
あたし達がやって来たのは川沿いの長い直線道。ここをしばらくまっすぐ行った先に透の行きたい所があるらしい。
「ここなら人もたくさんいねぇし誰にも見られずに済むだろ。」
向かい風の中平然と進んでいく透。心地よい風が吹く。
「気持ちいい…。」
「ははっ、ここの空気いいだろ。」
「うん、すっごくいい。」
「だから選んだんだよ。」
「透って結構都会の空気苦手とか言うタイプだったんだねー。」
「おいおい、とぼけんなって。」
少々強い風が吹き始め、立ち漕ぎをし始める透は振り返る事なくあたしに言う。
「お前、肺弱いんだろ。」
「えっ…。」
透の予想だにしなかった言葉に思わず驚いてしまう。…あたし、誰にも言ってなかったのに。
「知ってんだぜ?泣く時とか運動する時とか…しょっちゅう呼吸辛そうじゃん?俺はお見通しだぜ?」
「そんな…何で気付くわけ…?」
「絵里子の事、ずっと見てるからさ。」
…透の言う通り、病気ではないんだけどあたしは普通の子よりも肺が小さい。その上肺が肋骨に圧迫されているらしい。つまり一度の呼吸で肺に入れる事が出来る空気が少なく、深呼吸が出来ない。別に日常生活に支障が出ている訳でもなく、特にそれが苦だという姿を表に出していないつもりだった。透ったら何でもお見通しってわけ?