「絵里子!おはよう!」
学校に着いて真っ先に話しかけてきたのは、同じクラスで親友の花奏。
「んー…おはよー」
「やだもう、眠そうな顔して…ほら!寝癖!ちゃんと直してって言ってるじゃん!」
どこからともなくクシを取り出し、あたしの髪の毛を梳かし始める花奏は、クラスでもしっかり者でお姉さん的存在なんだけど、特にあたしの事は目が離せないっていつも面倒を見てくれる。まぁあたし、この間中学生に間違われたしなぁ…悪かったね童顔で!
「…よしっ!可愛くなった!」
「可愛くないしー…」
「もーっ、絵里子ったらいつもそうやって謙遜して…」
何故だか、花奏はあたしの事をいつもいつも可愛いと言ってくる。親友にまでお世辞を言うなんて花奏も大概お人好しだなぁ…自分にはかっこいい彼氏がいながら独り身のあたしを尚も魅力的に評価するのである。嫌じゃないんだけどさ、あたしが可愛くないのは本当の話だし…