世界一遠距離恋愛

「バッカじゃないのお兄ちゃん…まだ付き合ってもない透くんに…。」
「もう付き合ってるも同然だろうよ。…俺、絵里子が男に取られんのは嫌だけどな、秋風なら…て言うか、秋風にお前の事を幸せにしてもらいてぇんだよ。」
「何を偉そうに…。」
「良いだろ!俺先輩なんだから!…あのな、絵里子が最近秋風の話をする時にすげぇ幸せそうな顔してるんだよ。クマだっていつも大切そうに抱き締めちまってるし…俺、絵里子の泣いた顔なんか見たくねぇんだよ。だから秋風に死んでもらっちゃ困る。」
「お兄ちゃん…。」
「…本当は俺が絵里子を愛してやりたいんだけどな。…俺ら兄妹だから…っ!」
「…それは気持ち悪い。」
「ひでぇ!俺マジで泣くから!」
目の前で半泣きになるお兄ちゃんを見て少々呆れたけど…珍しくしっかり考えてるなって思った。…あたしも是非ともお兄ちゃんが早く彼女を作って幸せそうにしている顔が見たいよ。切実に。
お兄ちゃんと話をしていたら少し眠くなって来てしまった。…やっぱりお兄ちゃんがしっかり考えてるっていうの取り消し。あたしの体力考えてなかった。バカ。お兄ちゃん許さない。とお兄ちゃんに対して闘争心を燃やしていた所で…再びあたしの携帯が鳴った。少々緩んでいた気持ちが一気に引き締まる。
「…早く出ろよ。大切な電話なんだから。」
「…うん。」
「大丈夫だって、心配そうな顔すんな。…あいつは生きてるに決まってる。」
「うんっ。」
お兄ちゃんが力強い言葉で後押ししてくれて、あたしは遂に携帯を耳に当てた。