世界一遠距離恋愛

「…秋風くんがあたしを?まさかそんな事あるわけないじゃん…こんなあたしを…」
「当たり前じゃないですかっ!幼馴染みの白橋先輩ならまだ分かるんですけど、何とも思ってない女の子の名前なんて普通呼びませんよっ!ましてや名字とか、さん付けとかじゃなくて…『絵里子ちゃん』ですよ!?特別な思い入れがある様にしか思えませんっ!あぁっ…この学校にも他校の友達に自慢できる美男美女カップルが誕生しそうな予感ですっ!んぁぁぁぁぁぁっ!」
完全に感情のスイッチが入ったなぎちゃんは半紙に次々とハートを書き始めた。かなり圧倒されるこの行動は部活中によくある事なのだろうか…これに関しては周りにいる部員は全く動じず、静かに心穏やかに筆を動かしている。
秋風くんがあたしの事を…?いやっ、まさかそんな事あるわけない。あの天よりもさらに向こうの存在の様な彼が…もっと他に可愛い女の子の事を好きに違いない。きっとあたしが名前を呼ばれたのだって花奏がよくあたしを呼ぶからであって…別に何も特別な事ではないだろう。