「もし手術が失敗して死んじゃったら…あたしのせいだね。」
「何言ってんだよ!どうしてお前のせいになるんだ?」
「いやぁ…あたしが決めた事で透くんの死が早まっちゃうとしたら…あたしを恨む人も少なくないんじゃないかな?」
「…そんな事まで気にする事が出来るなんて。お前本当に優しいよ。」
「あたしは…当然の事を言っただけだよ。」
「お前のしている事が当然の事なら…大抵の人間は当然の事すら出来ていない奴等だろうな。」
そう言うと透くんは立ち上がり、近くに転がって来たボールを小さい女の子に手渡した。「ありがとう、お兄ちゃん!」と笑うその子に黙って頭を撫でてあげるその姿はまるでその子に親を大切にしろよ、と呼びかける様にも見えた。女の子は嬉しそうに両親の元へ戻って行き、お父さんに抱っこされて帰って行った。