「っ!」 いきなり後ろから押された。 何故かはわからないけれど、大勢の人が道を進もうとして無理やり押しているようだ。 そう言えば、もうすぐ花火が始まる。 この道の先にある境内に続く階段。 そこが花火を観るスポットとしてこの辺りの住民は知っているはずだから、この人だかりはそこを目指しているのかもしれない。 私はそんな流れに逆らうことなんて出来ないまま、人の波に流された。 瀬戸くんの名を呼んではみたものの、既に遅く、人混みに呑まれた私の姿が彼に見えることはなかった。