「兄ちゃんすげえな!」 「フフン」 ヨーヨー釣りの屋台。 瀬戸くんは子どもたちのヒーローになっていた。 器用なのだろう。釣ったヨーヨーは数知れず、だ。 私はと言うと、二つ目を釣ったところで切れてしまったのだけど。 屋台のおじさんの顔。 商売あがったりなのか、イラつきを超えて悲しそうな顔になっている。 私はそんな表情を見ていられず、少しだけ瀬戸くんから離れた。