小さい時は……ずっと寂しかった。

お父さんもお母さんも、
お姉ちゃんにばっかりかかりきりで、
私は何時も、母方のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんのところに預けられてた。

悧羅学院海神校に通う様になって、
私は寮生活。

学校が休みになって帰る場所も、実家じゃなくてお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの住む
喜多川のお家。


お姉ちゃんが、お父さんもお母さんも独り占めしてると思ってた。
お姉ちゃんなんて大嫌いって、何度も何度も思った。


初等部の中学年になった頃、
私は寮生活期間を終えて、放課後自由に動けるようになった。

放課後の自由を手に入れた私は、
大嫌いだけど、大好きなお姉ちゃんに逢いたくて
こっそりのあの病院へと向かった。



お父さんとお母さんを奪って嬉しそうに笑ってるはずの
お姉ちゃんはそこには居なくて、
病室のドアの隙間から覗き込むお姉ちゃんは、何時も一人。


ベッドで寂しそうに泣いてた。



覗き込むために泣いてたお姉ちゃんは、
やがて泣くことをやめて、表情が消えた。


その帰り道、立ち寄った神社で神様にお願いして……
お祖父ちゃんたちに自分の決意を話した。



『モモがお姉ちゃんに、お父さんとお母さんをあげるの。
 お姉ちゃんの目には、モモが映らないから。

 だからお姉ちゃんを元気にしてくださいって。

 だからお祖父ちゃん、モモをお祖父ちゃんの子にしてください。
 神様にそうやって約束してきたの』



だけど……お姉ちゃんは死んじゃった……。