星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】



FC旅行最終日。
早朝からホテルの部屋のドアをノックする音が聴こえた。


ベッドに沈んでいた重い体を、
引き上げるように体を起こすと、
部屋のドアを内側から開けた。


「託実、話があるわ」


そう言いながら、見るからに眉間に皺を寄せて
入って来るのは、Ansyalのマネージャーを大学時代から手伝ってくれる
東城実夜【とうじょう みや】。


入り込んできた実夜の背後で、
カチャリと音を立ててドアが静かに閉まった。


「託実、私が此処に来た理由、
 貴方ならわかるわよね。

 隆雪の親友の貴方が……
 今のこの時期に、何てことしてるの?

 ファンの女の子を自室に連れ込んで。
 隆雪が大切にしてるAnsyalを潰したいの?

 ゴシップ誌のカメラマンが来てたらどうするのよ?
 ただでさえ、Ansyalは注目が高いのよ。

 隆雪が交通事故で眠りについたままの現状も世間は知らない。
 ファンを悲しませないように欺いたことが、ファンの為だと言うなら
 最後まで守りなさいよ。

 Ansyalのリーダーとして隆雪から意を任されてる貴方の軽はずみな行動、
 私は一人の人間として軽蔑するわ。


 最低よ。
 Ansyalためにあの子の存在は目障りよ。

 もし貴方が、あの子に執着を続けるようなら
 私は迷いもなく、あの子を消すわ。

 隆雪の宝物なのよ……。
 親友の貴方が、軽率な行動で壊していいものじゃないの。

 貴方にはAnsyalを守る義務があるのよ。
 それだけは忘れないで。

 今回の一件、社長と会長には報告させて貰うわ」