いつもそうだ……。
一人っ子で兄弟が居ない俺にとって、
この二人の兄さんは、
絶対の存在で、兄貴みたいで。
「薬の使い方は中にメモを同封してる。
俺が把握してる限り、メンバーそれぞれに必要だと思われる
処方薬が入ってる。
最近は雪貴君も不安定だから、
万が一の時は、この中の説明を見ながら対処すること。
それでも難しい時は私に連絡を。
香港にも知人の医者がいるから派遣する。
不安定なのは、雪貴君だけじゃないよ。
託実……わかってると思うけど、
託実自身も今の限界を見極めて行動に責任を持つこと」
優しい口調で釘をさす裕兄。
そんな兄から受け取った薬を、
早々に鞄の中へと片付ける。
「隆雪君のことは心配しなくていい。
悠久(はるか)に全て任せておけば。
だから託実が今やるべきことをしておいで」
そう言うと裕兄さんは意味深な言葉を呟く。
*
「裕真が帰ってきたから、私は自由に動けるよ。
持つべきものは使える弟だね」
*
しみじみと紡ぐ裕兄に黒い羽と尻尾がチラつく。
これで母校の伝説の生徒総会メンバーの一人だって言うんだから。
裕兄、裕真兄の学生時代の出来事を思い返しながら
思わず苦笑する。



