そう思ってしまう私は、
まだ学生気分が抜けてないのかもしれないし、
社会をなめてるのかもしれない。


だけど……私に甘いお祖父ちゃんが、
休みをくれないなんて選択肢も私の中には当然のようにないわけで、
その場で携帯電話を握りしめて、Ansyalのファンクラブサイトから
申し込み手続きをサクサクっと済ませる。



会員番号・名前・電話番号・住所・同室を希望する人の名前。




そんな項目を次々に埋めながら、
最後の項目では、なかなか連絡がとれない
相方の名前を問答無用で打ち込む。



大丈夫……、
唯香も毎年参加してる。

唯香にとって、Ansyalは
大切すぎる存在。

TAKAと過ごせるその時間を
アイツが無駄にすることはない。


だから私は……、
一人になることもない。



だけど……やっぱりもう一度、
ちゃんと念押ししておかないと。


忙しすぎて、
気が付いてないかもしれないし。



私だって、
どうなるかわからなかった。



学生時代と同じように見えて、
私もやっぱり……違ってるから、
反応が鈍くなってるのかもしれない。



そんなことを考えながら、
全ての情報を入力し終えた私は送信して、
返信を待つ間に、
再度リダイヤルから唯香の番号を呼び出して発信。



あれから一時間は過ぎてると思うのに、
親友の電話はすぐに留守番電話になって、
無機質な音声が聞こえた。




ったく、唯香何やってんのよ。

最近、付き合い悪いぞー。




デスク傍のコルクボードに飾ってある
写真の中の唯香にデコピンしながら
飲みかけの缶チューハイを飲み干す。


缶チューハイがなくなった頃、
Ansyalオフィシャルからのメールを告げる
着うたが、携帯から流れる。



手さぐりで携帯を引き寄せて、
ポチポチっとボタン操作。