メンバーの衣装も髪型も新調して、
誕生する新生Ansyalの形。
そこには隆雪の音ではない、
雪貴自身の純粋なサウンドが会場内を包み込んでいく手はずになっている。
そして最後に十夜によって仕組まれているのは、
唯香ちゃんをステージにあげた、雪貴の公開プロポーズ。
準備は万端。
後は衣装に着替えて開演時間を待つばかり。
今まではずっと一人だった楽屋も、
今は百花と満月の笑顔を近くで感じる。
楽屋に目を見渡すと、何人かのメンバーの彼女が姿を消していた。
「あれっ、唯香ちゃんは?」
「あぁ、唯ちゃんは渡した神番チケットもってドセン」
「まぁねー。
やっぱり、唯香は向こうに行きたがると思ってた。
私も満月がもう少し大きかったら、向こう側に行くんだけど今はここで成功を見守る」
「そうだな。
俺はこっちに居てくれて安心してるよ」
「唯香ちゃんの傍には、晃穂がついてるから安心するといいよ」
そう言って、憲さんが自分の彼女の名前を紡ぐ。
「なら来夢。後は、百花ちゃんと満月ちゃん頼んだで。
そろそろ時間ちゃう?」
「んじゃ、そろそろいきますか」
十夜のコールで、一斉にドアの方に向かって移動を始める。
楽屋の時計に視線を向けて、俺は出陣コールをかける。
それと同時に、スタッフが「準備お願いします」っと迎えに来る。
それぞれに気合を入れて楽屋からステージ袖へ。
ステージ袖で、スタッフと一緒に円陣を組んで気合をいれると
そのまま一人ずつ、ステージへと続く階段をのぼっていた。
光の羽根が降り注ぐステージ。
幻想的に空間を彩る、overtureのサウンド。
過去と未来。
終焉と再生。
永遠の架け橋。
架け橋は、唯香ちゃんと雪貴だけじゃない。