「言ってもいいのかな?
百花ちゃんって」
えっ?
託実、託実が私の名前?
今、呼んだよ。
何で。
そりゃ、握手会とか、撮影会では名前呼んで貰うことあったけど
今なんて、武装説いてるし普段とは比べ物にならないくらい地味だし。
なのに名前、呼んでくれた。
……あっ、でも……
相本さんが、私の名前呼んだんだっけ?
百面相するかのように、
ときめいたり、悲しんだり。
託実にめっちゃ恋してるじゃん、私。
永遠に片想いかもしれなくても。
「いつもAnsyalのLIVEに来てくれる
百花ちゃんでしょ」
えっ?
託実がLIVEに来てくれてるって言った。
だったら、紛れもない。
相本さんに言われたからじゃなくて
託実は私を覚えててくれたんだ。
「はい。
いつも……応援してます。
今日は当画廊に来てくださって
有難うございます。
ここ、祖父の画廊なんです」
ペコリとお辞儀を添えて。
ティータイムを終えた託実が、
今度は相本さんにも伝えた今日の探し物について話し出した。
託実さまの本日の探し物。
・入院している知人の病室に飾る絵を探している。
・自然の光を感じさせてくれる優しい絵。
・入院している知人に、力を注いでくれそうな絵。
イメージにあった作品であれば無名の人でも構わない。
二人、ギャラリーをもう一度巡りながら、
その目的のものにあいそうな絵画を探す。
託実が入院してるお友達に渡しても
恥ずかしくない物選ばなきゃ。
一緒に選ぶ私も力が入る。
候補は……二作品。
だけど……もう少し何か足りない。
そう思ってた時、相本さんが、
奥の事務所の方から一枚の絵画を持ってきた。



