星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】


夏休みに入って間もなく雪貴はウィーンへと旅立った。

雪貴が留学した後、
唯香ちゃんは自分のマンションへと戻って行く。


百花に零した理由としては、
『ベッドが広すぎるから』らしい。


時折、百花が連絡をして
俺たちの家へと顔を出すようになったものの
雪貴不在の影響は、思った以上に大きいように思えた。


寂しさを紛らわすように、
学校の部活へと入り浸っているようにも映る。




「なぁ、百花。
 唯香ちゃん、向こうの雪貴と連絡取れてるのか?」

「なんか時差とかの関係もあって、擦れ違ってばかりみたい。

 後は電話料金とか。
 唯香、結構そういうの気にするタイプだから」

「そっか……電話料金かぁ。

 そんなの気にしないで利用できる何かがあればいんだけどな。
 今度、十夜か兄さんたちに聞いてみるよ。

 とりあえず難なくお互いに連絡が出来るようになったら、
 多少は落ち着くんだよな。

 唯ちゃんが落ち着いてないってことは、多分向こうにいる雪貴もそうだろうからさ」


そう言って呟いた俺に、百花は『心配性だね』って紡ぎながら微笑んだ。


その夜も、
久しぶりにゆっくりとベッドの中で体を重ねる。

最初は余裕があったその行為に対して、
段々、制御がきかなくなっていって感情のままに組み敷く百花。

俺に抱かれながら、声を漏らすその調べにすら
俺自身を熱くしていく。


互いの肌を重ねあわした夜。


理佳と出逢って、理佳と別れた夏に
ゆっくりと新しい歴史がまた一頁、塗り替えられていく。