それでも君が好きで。




すぐ目の前に、樹里くんの瞼が映る。



(え……な、に……?)



温かい何かが私の唇に重なって、
重なった奥から何かが流れ込んでくる。




しばらくして樹里くんが遠ざかると、
唇が涼しくなる。



私は熱に浮かされたまま、
じっと樹里くんを見た。



「食べれた…?」


樹里くんがぼそっと尋ねた。


そういえば、口の中に冷たい感触がある。




「な──…」




尋ねようとした私の唇が、
もう一度樹里くんの唇に塞がれる。



「ん…」


またしばらくしてようやく唇が離される。


「…ゴメン。最初は単に、アイスを
食べさせたかっただけなんだけど…。
今のは…その…」



樹里くんが赤くなりながら呟く。




「…その……ひよちゃんが…
か、可愛すぎて、つい………」



私はこの時、ようやく自分が
樹里くんにキスされたんだと分かった。



「!!!?」



私は慌てて口を押さえた。



「ほ、ホントにごめん!」


樹里くんが私に謝った。