ぱくり。
口の中に冷たく広がるアイスの味は
美味しいかどうかなんて、
樹里くんには悪いけど、分からなかった。
(風邪なんか引かなきゃ、これ、
美味しかったんだろな……)
樹里くんは、私がそんなことを
考えているなんて知らずに、
笑顔でアイスをまた口に
運んでくれようとしている。
もう一口運ばれてきたスプーンを
口に入れようとするも、
私は何だか少しだるくなってきた。
「…………」
私の辛そうな面持ちに気が付いたのか、
「大丈夫?だるい?」
と、樹里くんが声をかけてくれる。
それに対して私は静かに頷いた。
「………」
私はぼーっとする頭と、だるい体に
だんだん無言になりそうなる。
突然、ふっと目の前が暗くなった。
(え…?)
