……あぁ、この人は本気なんだ…。
何も言わないで、
そばにいるだけじゃない。
私の気持ちも、汲み取ろうと
してくれている。
時々見える彼の優しさに、
私はまた涙が溢れてきた。
「…ごめんね、樹里くん…。
こんな大変な幼馴染みで……」
「…そんなの、お互い様でしょ。
ひよちゃん一人が大変なんかじゃない。
それに…………」
彼は言葉を詰まらせる。
「樹里くん…?」
「…いや、なんでもない。
ひよちゃん、さっきのことはもちろん
本気だから…答えを考えて欲しい…。
ゆっくりでいいから」
樹里くんはそう言うと、
シャワーを止め、私にバスタオルをかけて
バスルームを出ていった。
「………」
また高鳴る胸に、私は動揺した。
なんだか、心に火が灯ったように
あったかい気持ちになる…。
これって、何……?
