それでも君が好きで。




玄関に入ると、ザー…とシャワーの
流れる音が聞こえる。


(入ってるみたいだし、大丈夫かな…)


俺はそっとひよちゃんの着替えが
入った紙袋を脱衣所に置いた。





──『綾瀬さんに私、話があって…』──



ひよちゃんが出てくるまでの間、
ふと結城のことを思い返す。



「話って何だ…?」



結城が彼女ということは薄々
ひよちゃんも察しているであろうから、
別に驚きはしない。


けど、結城がわざわざ
ひよちゃんに会いに来てまで
話すことは何だったんだろうか…。



「郁翔に近付くな、とか…?」


結城なら言いそうなタイプだ。


あいつはホント、郁翔と
付き合うようになってからは
郁翔にベタベタしている気がする。



「……あー!もう!なんで俺が
こんなことで悩まなきゃなんないんだよ!!
クソっ、イラつくっ…!」


俺はソファーへと、体を横たえる。



「………」




外はまだ雨が降っている。


部屋に沈黙が流れているせいか、
やたらと雨音が大きく感じられた。



「……なんで……なんだろな…」



俺はふと目尻に滲む涙を拭いた。