「はぁ〜!ギリギリセーフ!」
教室にようやくたどり着いた私は、机に突っ伏す。
「おはよう、ひよ」
私の前の席に座る小学校からの親友・三橋棗ちゃんが話しかけてきた。
「おはよー…棗ちゃん…」
「そんなに汗かいて、今日も全速力で来たの?」
「はい…」
「あんたはホント毎朝余裕なしね。それにしても、梨本兄弟は相変わらず朝から人気だねぇ」
棗ちゃんが教室の隅にいる郁ちゃんと樹里くんを見ながら言った。
「…そりゃあ、まぁ…カッコイイですからね」
私はみんなに囲まれて話してる郁ちゃんをちらりと見ながら答えた。
「ほんと、あんたは羨ましいポジションにいるわよねぇ〜♪」
棗ちゃんが私の頬をつんとつついた。
「羨ましいポジション?」
「そうよ。あんたはあの二人の幼馴染みで、毎朝一緒に登校できる仲。このポジションを羨ましがらない女子なんていないでしょ」
さらにつんつんと棗ちゃんは私の頬をつつく。
「『できることなら私もあの中に混ざりた〜い♡』って女子が何人もいるのよ。ま、あたしはあの二人はもう見慣れてるから、全然キョーミないけどね」
棗ちゃんは心底興味なさげに言った。
「ね…ねぇ、棗ちゃん」
「なぁに?」
棗ちゃんが首を傾げながら私を見る。
「友達っていうか…家族みたいな幼馴染みの男女に、恋愛関係って成立すると思う…?」
私の質問が直球過ぎたのか、
「それって、あの二人のどっちかと恋愛関係に発展するのがアリかナシかってこと?」
と、棗ちゃんにきっぱり返されてしまった。
「あ…あくまでの例で!例えで答えて欲しいの!」
