「この………最低男!」
三橋はそう怒鳴ると、教室を出ていった。
(三橋のあんな顔、初めて見た……)
俺は居なくなった三橋の席を見つめて
ふと三橋のさっきの顔を思い出していた。
あんなに怒るなんて、よほど
ひよちゃんの事を大切に思ってるんだ…。
なにより、ひよちゃん自体も
三橋を頼りにしているし…。
二人の間にある、見えない絆に
俺はほんの少し感動した。
「……」
頬を叩かれて、何が起きたのか
分らないというような表情の郁翔は、
まだぽつんと椅子に座って
呆気にとられていた。
「はー…全く……」
俺は仕方なく郁翔の腕を掴んだ。
「…帰るよ、”兄貴”」
郁翔は我に返って頷いた。
「なぁ、樹里…」
まだ頬が痛むのか、頬をさすりながら
郁翔は言った。
「…何?」
俺は尋ねた。
