「郁くん、ほんとに大丈夫?
もう行かないと遅刻になっちゃうよ?」


碧海が俺の額に流れる汗を
拭きながら尋ねた。



「大丈夫…あと、もう少しだけ…」



本当を言えば、朝から体調が良くない。



昨日、突然連絡の取れなくなった
ひよりを探しに行ったものの、
結局見つけることが出来ないままだった。



「…綾瀬さん、もう来ないかもよ?
連絡取れなかったのも、単純に体調が
悪かったとかの理由とも取れるし…」


碧海が言った。



「…昨日は友達の家に
泊まってたみたいなんだ……」



俺は静かに目を伏せた。



「だから、ここで待ってれば
確実にひよりに謝れると思ったんだ…」

「郁くん……」


碧海が心配そうな目を向けてくる。



「碧海こそ、早く学校行きな…?
遅刻したら怖いんだろ、あの学校」



心配して腕にしがみつく碧海を、
引き剥がしながら言った。



「…じゃあ、行くけど…無理しないでね?」



碧海はそう言うと、
自分の学校へと向かって行った。