「………はぁ?」

私は思わず眉間に皺を寄せた。


「そんなの、自分で走って行けばいいでしょ?なんで私にそんなこと頼むのよ」

「別にいいじゃん〜そこはお隣同士のよしみってやつでさー」

樹里くんはまたヘラヘラと笑う。


(あー、もう!樹里くんってほんと、こうやって毎回私をイライラさせてくれる…!)

「っ、あのねぇ…!」

私が言い返そうとした途端。


「おい樹里。お前、さっき自分で歩いて行くって言ったろ?なんでひよりに頼るんだよ」

郁ちゃんが間に入って助けてくれた。


「もぉーいったいなぁ〜、何もそんなに強く腕掴まなくたっていーじゃん。俺はひよちゃんが良かったの!」

「女の子に男を後ろに乗せて走らせるわけにもいかないだろ。お前は何するか分からないし。それに、自転車は二人乗り禁止だ」

「うわ、キビシー。てか郁翔ひっどいなー。俺ってそんなに信用ないの?」


「「ない」」

私と郁ちゃんは同時にきっぱりと答えた。