結局、あれからひよちゃんを
探すことにしてみたものの、
見つける事は出来なかった。
朝になっていつものように
リビングに行くと、
少しやつれた顔の郁翔が座っていた。
「……」
昨日の出来事があってからなのか、
郁翔は口を開かない。
まぁ、俺も開かないつもりだけど。
逆に開かれても、こっちは郁翔に
言う事なんてない。
そんなことを考えていると、
「あんたたち、無言なのは
何も突っ込まないけど、
さっさと食べてくれないと
片付けられないでしょ!」
と、母さんが怒り出した。
「へーい……」
俺はすごすごと肩をすくめると、
朝ご飯にありつく。
郁翔も無言で朝ご飯を食べ始めた。
「あ、そうだ。
さっき紫璃(ゆかり)ちゃんに
会ったんだけど、
今日はあんたたち二人で
学校に行って欲しいそうよ」
母さんがキッチンから言った。