「ねぇ、ひよちゃん」

いつものように馴れ馴れしい態度で樹里くんが話しかけてくる。


「……なに?」

私はあからさまに嫌な態度で尋ねる。


「ちょっとなにー?そのあからさまに”話しかけてくんな”オーラ出してさぁー」

郁ちゃんと同じ顔でヘラヘラと樹里くんが笑う。


「なんなのよ。用がないなら話しかけないでよ」

イラッとしつつも私は玄関の階段を下りて、自転車の鍵を開ける。


「ひっどいなー、用があるから話しかけたのに〜」

「なら、用件をさっさと言ってよね」

私は自転車にまたがると樹里くんを見た。



「俺、自転車パンクしたから乗せて♡」