翌朝になると、棗ちゃんが
私を起こしてくれた。
「おはよ、ひよ。
顔色は良くなってるみたいだけど、
気分はどう?」
ぐっすり眠れたおかげか、
昨日ほどの疲れは体に残ってなかった。
「もうすっかりいいみたい。
ありがと、棗ちゃん」
「いいってことよ。さ、お母さんが
ご飯用意してくれてるし、食べよ?」
棗ちゃんが私の手を引いて
一階のリビングへと連れて行ってくれる。
棗ちゃんがドアを開けた瞬間、目の前から
パンが焼けた甘い香りが広がった。
「おはよう、ひよりちゃん」
棗ちゃんのおじさんとおばさんが
同時に声をかけてくれた。
「おっ…おはようございますっ!
あの、昨日は急に押し掛けてしまって、
すみません!
ご迷惑をおかけしました…っ!」
私は急いで頭を下げた。
「ふふっ、長い付き合いなんだから、
そんな硬いことはいいのよ。
それより、昨日はよく眠れた?
棗のいびきとかうるさくなかった?」
おばさんがニコニコしながら言う。
