それでも君が好きで。



「え?お母さん…?」

「そ。あんたが家に帰ってこない、って
連絡きててさ」

「あ……」




…私、自暴自棄になりすぎて
他の事、見えてなかった…。




”郁ちゃん達に会いたくない”って、
そればっかりで、お母さん達のこと
すっかり忘れていた。



「まぁそれで、あたしもお母さんに
買い物頼まれてたのもあって、外に
出てきてみたら偶然あんたの姿を
見つけたってワケ。
あ、もちろんあんたの事
探すつもりもあったよ?」


棗ちゃんが淡々と話す。



「………ごめんね…」

私は申し訳なくなって呟いた。




「…その様子だと、あの双子絡み?」


棗ちゃんの問いに、私は顔を上げた。



「あ、当たりなんだ」


目が合った棗ちゃんが、
納得したように頷く。



「やっぱりあんたは顔に出やすいコだね」



棗ちゃんが私の頭をぐりぐりと撫でた。