ドンッ!と、フラフラ歩いていた私に
誰かがぶつかっていく。



「……」



全然、痛いとか感じなかった。



それよりも、ショックの方が大きすぎて
心の方が痛かった。



「…郁ちゃん…」



そう呟いた途端、再び
ケータイがポケットの中で震えた。



「あ…」



ディスプレイには、また
”郁ちゃん”の表示。



私はその画面すら見るのも辛くて、
出たくなくて、電源を落とした。




…これでいい。



こんな気持ちになるくらいなら、
私はもう、郁ちゃんと
連絡なんて取れなくていい。



嫌な子でいて、嫌われてもいいや…。