5年も経った樹里くんの姿は、
少し大人っぽくなっていた。
「…ど…して……」
私は目の前の状況に驚いて、
上手く声が出ない。
「つい二年ほど前くらいにここへ
上京してきたんだ。
人の力になれる仕事がしたくて、さ」
へへ、と彼が笑う。
私が大好きだと言った、あの笑顔で。
「…嘘じゃ…ないの…?」
「嘘じゃないよ。ちゃんと、俺だよ」
樹里くんは驚いたままの私の前に跪いた。
「俺、ずっとひよちゃんに会いたくて…。
今日、君を迎えに来たんだよ」
「…迎え…?」
「そうだよ。俺、ずっと
ひよちゃんのこと、探してたんだ」
樹里くんが私の手を取る。
「…浅ましいかもしれないけど、
別れたあの後も、ひよちゃんのこと
忘れられなくて…。
ずっと、ひよちゃんの姿を追いかけてた」
「じゃあ…5年間も…ずっと…?」
私の問いに樹里くんが頷く。
