「…今、何してるのかな…」
懐かしい思い出を思い出して、
胸がきゅうっと締め付けられる。
「…はっ!ダメダメ!もう泣かないって
約束したんだから!」
慌てて滲んできた涙を拭う。
でも、やっぱり思い出すと、
私の中の彼への愛しさは溢れ出す。
「…やっぱり、好きだなぁ…」
自分から別れようって言ったのに、
今でも好きだなんて
図々しいなぁ……私って…。
そう思っていた頃、
玄関のチャイムが鳴る。
「はい、どちら様…」
ドアを開けて、私は唖然とした。
嘘みたいな奇跡が目の前で
起こっているからだ。
「…やっぱり、"綾瀬"ってそうだったんだ」
玄関に現れたのは…樹里くんだった。
