─時は過ぎ、5年後─
「…あ、はい。はい。
じゃあ、それでお願いします」
私は電話を切ると、一息ついた。
ふと、部屋に立てかけてあった
懐かしい写真が目に入る。
「もう私も、23歳かぁ…」
満面の笑みの私の両隣にいる男の子も、
写真の中で微笑んでいる。
…時の流れは早いものだ。
と、私は思わずふっと笑ってしまう。
「先生ー!電話、終わりました?」
担当の女の子が部屋に入ってくる。
「鈴木さん。えぇ。
たった今、終わりました」
私が答えると、鈴木さんが
車椅子を持ってきてくれる。
「少し、休憩しますか?」
「あぁ、車椅子は平気よ。
…今日はね、なんだか体調がいいの」
私は窓の外を見た。