「さよならの前に、恋人として
最後のキス、させて…?」
"最後"
その言葉がズシンと心にのしかかる。
でも、これは本当に最後。
少しでも願いを叶えられるならと思い、
私はそっと頷いた。
起き上がろうとした私を制して、
樹里くんはベッドの端に座る。
樹里くんの両腕が、私を挟むようにして
両耳側に付けられる。
そして、ゆっくりと
傾けられた顔が近付く。
私は目を閉じた。
最後に感じた唇の熱は熱くて、
溶けてしまいそうな程だった。
でも、どこか寂しさが混じったキスに、
私は自分が選んだ道が、これから
過酷であることを悟った。
でも、これでいい……。
私はそっと目を開けた。
樹里くんも私を見つめている。
「…じゃあ、ホントにさよなら、だね」
私たちはその言葉を最後に、
互いの関係にピリオドを打った。