幼馴染みなんかじゃなかったら。
郁翔と双子じゃなかったら。
どれだけ良かったんだろう。
好きな子にも悩まなかったし、
比べられることもなかっただろう。
こんな気持ち、知りたくなかった。
────「おい、樹里ってば!」
不意に顔を覗き込まれて、
我に返った。
「あれ…?何で郁翔がいんの?」
俺が尋ねると、郁翔はため息をついた。
「バカか、ここはお前の部屋だ。
自分の家の中にいることも忘れたのか?」
…ホントだ。
よく見たら自分の家だ。
いつの間に帰ってきたんだっけ…。
「ちょっと考え事してたかも」
郁翔に曖昧な言い訳を並べる。
「考え事するにしても気を付けろよ。
そのうち事故にあったりするぞ?」
郁翔が母親みたいな心配事を並べてきた。
……あぁ、こいつのこういう所とか、
ホントうざったいな。
