それでも君が好きで。




やだ…。
何を話すつもりなの…?



気付けば、私は咄嗟に

「いやっっ!」

と叫んでいた。



「…え?ひよちゃん??」


私はフラれてしまうんじゃないか、と
そう思うだけで、涙がじわりと出てくる。



「樹里くんから話なんて…なにも…
何も聞きたくない…!」


あぁ、滅茶苦茶だ。
自分で余計に引っ掻き回して、
樹里くんを困らせて。


私は何がしたいの?



「…あの、ひよちゃん。話って、
別れ話とかじゃないから…」


樹里くんがあはは、と苦笑いしている。


「…え?」


かぁああっと顔が赤くなるのを感じる。


「じゃ、じゃあ、何の話…??」



私が言うと、樹里くんが
真剣な顔つきになる。



「…ひよちゃん、車に撥ねられたでしょ?
その時に、脊髄を損傷していて、
体は回復しても、麻痺が残るみたいで…。
…だから、前みたいに満足に
歩くことができないかもしれない…って」

「…!!」


じゃあ、あの夢で見た足枷は、
まさかそういうことだったの…?


「…歩けないなんて……走ることも、
できなくなるの…?」