『ひより』
温かな声が私を現実へと
導こうとしてくれている。
この声に、従っていけば
いいような気がする。
けど、私の足枷は外れることはない。
重くのしかかるそれは、私の心を
尚も重くさせていく。
「……私は、ここだよ…!だれか…
私に気付いてよ……!」
暗闇に叫んでも、誰も答えることはない。
ただただ、暗闇には私を呼ぶ声だけが
こだまするだけだった。
このまま、ここで私は
居なきゃいけないのだろうか。
「…っ」
一人ぼっちで、このまま一生?
そう考えると、身の毛がよだった。
『ひより』
また私を温かな声で誰かが呼ぶ。
「…っ、私…行けないの……。
これが外れない限り……」
私の涙がぽたりと足枷に落ちる。
すると、まばゆい光が私を包む。
