病室を出ると、橘がホッとした顔で
こちらに歩み寄ってきた。
「棗、平気か…?」
あたしは自分の両頬をパン!と叩くと
顔を上げる。
「うん!さぁ、帰ろう!」
「…?、お、おぉ…」
「あたしがこんなんじゃ、ひよりが
目が覚めた時に、逆に心配させちゃう。
だから、あたしがまず笑わなきゃ!」
「…そうだな」
橘は笑うと、あたしの手を繋いだ。
「…橘、ありがと。
あたし、橘がいなかったら、冷静では
この場所にいられなかったと思うわ」
「棗が望むなら、俺はいつだって
お前の傍にいるから。
いつだって俺のことを呼んでよ」
「橘……」
あたしはぎゅっと橘の手を握り返す。
「うん。これからも、傍にいて。
ずっとずっと、あたしも傍にいるから」
「……お前って、たまに
デレスイッチ入る時あるよな…」
「? なんか言った?」
「いや、なんでもないす。
んなことより、帰ろ帰ろー」
…絶対にあの子は居なくなったりしない。
あたしがそんなこと、させない。
あの子はあたしが自慢できる
親友なんだから、絶対に大丈夫。
そうだよね?神様─…。
