「…っ…っうぅ〜…っ」
久々に流した涙は止まらない。
「棗ちゃん…」
おばさんがあたしの手に
そっと撫でるように触れた。
「…こんなに遅いのにわざわざ
来てくれて、ひよりは幸せ者だわ。
…ほんとにいい友達を持ったのね。
なんだか、おばさんまで嬉しいわ」
「…おばさん…」
「ひよりは、まだこれからも迷惑かける
こともあるかもしれないけど、
どうか、よろしくね」
そう言ったおばさんの目は、
泣き腫らして、赤くなっていた。
不安なのは、あたしだけじゃない。
ここにいるみんなが、同じ気持ちだ。
「…っ、早く、良くなりなさいよね…っ。
じゃないと、あたし……学校が
つまんなくなっちゃうわよ…っ」
あたしは涙を拭いて、ひよりに言った。
「梨本弟がバカなことしたら、
誰があのバカを止めるのよ…?
…っ、あんたしかいないんだから、
早く目を覚ましなさいよ…っ」
涙を拭いても拭いても、溢れ出して
ひよりの頬に落ちていく。
今は辛くても、笑わなくちゃ。
じゃなきゃ、誰も笑顔にならない。
ひよりのためにも、笑わなきゃ。
「…だから、元気になって…
笑ってよ……?」
そしたら、みんな笑顔になるはずだから。
こんな悪夢みたいな結末なんて、
あたしは絶対に嫌だから。
「大好きよ、ひより……」
あたしはそう言うと、ひよりの頬に
落ちた涙を拭った。
