「…あのっ………ひよりは…
大丈夫なんですよね…?」


あたしが尋ねると、



「…事故の時に、体を強く打って
脊髄を損傷しているみたいでね…。
今はまだ意識が戻ってないし、
私の口からは、何とも言えない……」


おじさんはそう話すと、ひよりを見る。



「…そんな…」


あたしは親友の見えない未来を
想像してしまい、背筋に寒気を感じた。




──『棗ちゃん』──


元気に笑ってた親友が、生死の境を
さまよっているかもしれない中で、
何も出来ない無力な自分に呆れる。





──神様、どうかひよりを助けて下さい。


ひよりを連れて行ったりしないで。


あたしにとって、あの子は光なんです。


なくすことのできない、あたしの大事な
大事な親友なんです。


だからお願い、どうか
彼女を助けてください。




「…っ…ひよりぃ…っ」


ひよりの体にすがるようにして、
あたしはまた泣いた。




生きて欲しい、ただそれだけを願って。


もう一度、この子には笑って欲しい。
この子には、幸せな未来が訪れて欲しい。